市場創造型イノベーションのパワー
―― 経済を成長させるイノベーションとは
The Power of Market Creation ―― How Innovation Can Spur Development
2015年2月号掲載論文
雇用を創出するのは社会でも政府でも産業でもない。それは企業とその経営者たちだ。支出、投資、雇用の判断を下すのは起業家と企業に他ならない。そしてこれらの判断が市場創造型イノベーションへと向かえば、国は持続的成長と繁栄の恩恵に浴する。その好例が戦後の日本経済だ。これまで日本の戦後経済の成功は、国家のプライドと力強い労働倫理、政府のビジョン、優れた科学・技術教育といった要因で説明されてきた。だが、その成功はバイク、自動車、家電、事務機器、鉄鋼などのセクターにおける市場創造型イノベーションに起因していた。ホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハというバイクメーカーは国内市場での需要の掘り起こしを競い合い、その後、同じ戦略を外国市場でも試みた。家電部門(パナソニック、シャープ、ソニー)、自動車部門(日産とトヨタ)、そして事務機器部門(キャノン、京セラ、リコー)も、これと同じパターンで成功した。市場創造型イノベーションで戦後日本は成功を収め、このモデルが世界に広がっていった。・・・
- 何が経済を成長させるのか
- イノベーションの三つのタイプ
- 日本から始まった市場創造型イノベーション
- 経済を成長させる投資とは
- 途上国で持続的成長を実現するには
- 問題の内部化を
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